地方重賞の羽田盃と東京ダービーが今年からG1に昇格し、中央との交流レースになる「3歳ダート三冠」へと生まれ変わった。旧体系での三冠は昨年がラストイヤーだったのだが、これをデビューから無敗で三冠を達成したのがカジノ ソウル(牡4歳、大井・渡辺和雄厩舎)だ。
三冠レースはいずれも圧勝を収め、地方の同世代では敵なしと言える強さを見せた同馬。年末は東京大賞典(G1)で初の古馬戦に挑み、中央所属のG1馬ウシュバテソーロ、キングズソードに続く3番人気に推された。
しかし、レース前からイレ込みが見えた影響か、スタートで出遅れて中団を追走し、最後は7着のテンカハルからも7馬身離された8着で入線。先行して速い上がりを使う、らしさの見られない内容だった。
レース後、鞍上の御神本訓史騎手は「状態が戻っていても、もうちょっと差は詰められたかなあ」と、パートナーの体調面を気にするコメント。確かに最終直線では余力のない状態で無理をさせたくなかったのか、鞭をほぼ使わないままゴールしている。
とはいえ、この凡走はある程度仕方のなかったことかもしれない。というのも2走前に盛岡のダービーグランプリを勝利したが、御神本騎手も「危なかった」と振り返る辛勝。三冠でカジノ ソウルが問題にしなかったヒーローコールに全敗中のマンダリンヒーロー相手に1馬身半差しか離せない姿に不安を感じられたからである。その後も予定していたJBCクラシック(G1)やチャンピオンズC(G1)を見送ったが、陣営としてもまだ本調子にないという見立てだったのかもしれない。
デビューから激闘を続けた疲れが残っていた結果、本来のパフォーマンスを発揮できなかった可能性も捨て切れない。そんな状況での東京大賞典出走だっただけに、一度の敗戦だけでカジノ ソウルの評価を下げてしまうのはまだ早いともいえる。
そういう意味でも復帰戦のカジノ ソウルの巻き返しに期待したいところだが、次走の候補として名前の挙がったレースは、来月18日のフェブラリーS(G1)と24日のサウジC(G1)となりそうな雰囲気だ。
世界最高の1着賞金・約13億円を誇るサウジCには、ダート路線の“2強”と言えるレモンポップとウシュバテソーロが参戦を表明。他にもウィルソンテソーロやドゥラエレーデなど、東京大賞典で差をつけられたメンバーも登録している。彼らが参戦するなら、前走のリベンジには絶好の機会だろう。
ただ、名より実を取るならフェブラリーSの方が相手関係は遥かに楽になる可能性が高そうだ。まずはここで復活の狼煙を上げて、前走の汚名を返上してからライバルたちに挑戦するという手もある。
海外でさらなる高みを目指すか、国内で堅実に戦うか。未来あるカジノ ソウルはどの道を進むのか、陣営の決断に注目したい。
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